『半ば泥みて、半ば泥まず』の人

[事務所の日記]

20120326_handeisi  書 『波和遊』 (How are you?)

 タイトルは、本市の粋人、川喜田久太夫の号「半泥子」のいわれです。全て半ば泥むがよかろうと、禅の師が命名したといわれていますが、その意味するところ「ざんぐり」という語に近い感覚かもしれませんが、茶道具などにいう 「至極ざんぐりと出来あがつた」と使うように、大まかで風雅な趣のあるさまに似ているようです。

  「ざんぐり」は、「ちょうどいい感じ」「抵抗感を感じない」の意味するように、そのためには「バランスよく整っていること」と「ちょうどいい間(ま)があること」の双方がとても重要な要素であり、自分の間(ま)や分(ぶん)を持つことで自分に磨きがかかり魅力が出てくるのかもしれません。そうしたものをこのタイトル「半ば泥みて、半ば泥まず」は言っているように感じます。また、半泥子は、この号のほかに、無茶法師(むちゃぼうし)や莫加野蘆(ばかやろう)、鳴穂堂(なるほどう)主人など、いかにもユーモアにたけた号も用いています。

  半泥子は、本市内にある千歳山で本格的な登り窯を築き、陶芸づくりを始めます。

  『土を選び、捏ね、轆轤を引いて、そして焼く』という一連の工程を全て自ら行うことで出来上がる陶芸作品、登り窯を自ら築くこともその行程のひとつであり、これが半泥子の作陶姿勢となっている、本市の誇る粋人です。

  半泥子が陶芸を愛しんだ千歳山の邸宅の庭園には、その粋人としての風流心や自由さを示す俳句が刻まれた石が残されていますので、その人となりを感じていただければと思います。

  『秋風や ふくやろくろの まわるまま』